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コミュニケーション・トレーナー&マイム・アーティスト
荒木シゲル

2012.02.17

アイコンジェスチャーとビートジェスチャー

最近“ミラーニューロン”に興味があって関係する本をよく読んでいます。

ミラーニューロンというのは、自分がある動作をするときと、他人がその動作をするとき、またはその動作の対象物を見たときに共通して活性化するニューロンです。

なんだか分かりづらい説明ですが、例えば“蹴る”という動作で考えたとき、

この神経は
サッカーボールを蹴ったときも、
人がボールを蹴る様子を見たときも、
サッカーボールを見たときも、
または蹴る音を聞いた時も、
“蹴る”という言葉を聞いたときにも
同じように活性化するのだそうです。

相手の行動の意図を共感したり理解することを促す働きがあり、コミュニケーションに深く関わっている神経だと言われています。

旅行番組を見て温泉に行きたくなったり、グルメ番組のラーメン特集を見て食べたい!と思うのは、まさにこのニューロンの働きなのです。

ミラーニューロンの研究はコミュニケーションの仕組みを調べる趣旨のものがけっこうあって、興味深いものばかりです。

例えば身振りと言葉についてなどです。

人の身振りは、話している事象をパントマイム的に表す“アイコン的”なものと、会話のテンポや拍子を誇張する“ビート的”なものに大きく分けられます。

魚釣りに言った時の体験談を話しながら魚を釣るジェスチャーをしたり“どうですか最近?”と聞きながらゴルフの素振りをするのは“アイコン的な”身振りといえます。

一方、人差し指を立ててリズミカルに動かしながら話すようなジェスチャーは“ビート的”な身振りです。

アイコンジェスチャーは、“どんなに大きかったのか”とか、“どんな形だったのか”というのを誇張したり、相手に分かりやすく説明を視覚化したりします。ビートジェスチャーは、言葉の語意を強めたり、会話の抑揚と連動しての動きで、話す本人が会話のリズムを取るような仕草です。

そこである実験で、同じ映画を複数の被験者に見せて、一人がそれについていろいろなジェスチャーを交えて話している映像を別の被験者に見せて脳の活動を調べたそうです。すると、話し手がアイコンジェスチャーをしているときに、それを見ている被験者のミラーミューロンが強く活性化したそうです。

相互理解のためのジェスチャー、相手が話の意味を伝えようと、言葉を描写するようなジェスチャーのほうが、ビートジェスチャーを見るよりも共感を生むということが言えそうです。

確かにそう言われてみれば、リズムをとっているような単調な動作の繰り返しのジャスチャーよりも、情景が目に浮かぶようなジェスチャーで話している人のほうが、より鮮明にイメージを持って話しているように見えます。

面白い結果だと思いました。

例えばスピーチするとき、“ジェスチャーやボディランゲージを交えて話すことで、説得力が増す!”なんて思われがちですが、どういう動きをするのかがとても重要なわけです。

というわけで、ビートではなくて、アイコンジェスチャーのバリエーションを増やしましょう!

パントマイムなんかそれにぴったりです。