先日このコラムでアイコンジェスチャーとビートジェスチャーについて書いている時
学生時代にやったエクササイズを思い出したので、ご紹介したいと思います。
名前は特にないですが、仮に“即興ジェスチャー”と呼ぶことにしましょう。手順は
二人組みになり、一人が昔話の絵本などをゆっくりとしたペースで朗読する。
もう一人はその話を聞きながら、全ての言葉をジェスチャーで表現していく。
というものです。
児童劇などで舞台の端に立ち、ナレーションをしたり進行役をするストーリーレラーの練習としてのエクササイズです。
観客の注意を引き話に引き込む重要な役割ですから、人を飽きさせない豊かな表現力が求められます。
実際にやってみると、“全ての言葉を”というのが結構難しいのです。
例えば
“むかしむかし、あるところに・・・”
をジェスチャーで表現しなければなりません。
または、
“そこで太郎は考えました。”
であれば、“考えました”は頭をひねるなどの表現ができますが、
“そこで太郎は”を表現するのは難しいです。
そういう時は、人差し指を立てたり両手を広げるなど、いわゆる“ビートジェスチャー”的な動作をするわけですが
バリエーションを持つことも重要です。
“そこで”で使ったジェスチャーは、“ところが”や“しばらくして”といった時とは表現を変えるべき
というか言葉の意味が違うのでジェスチャーも違ってしかるべきなのです。
皆さんもラジオやテレビの音声だけを聞きながら試してみてください。
一人の人が単調にただ話しているような番組のほうがやりやすいと思います。
アクションや情景などは出来る限りパントマイム的に、それ以外の言葉は抽象的なジェスチャーであっても
単に勢いだけの動作ではなく、意味を意識することがポイントです。
人がしゃべった言葉でリアルタイムにできるようになるころには、習慣化してしまい
自分で何か話す時にも同じようなジェスチャーをするようになっています。
さらに慣れてくるとその度合いをコントロールできるようになってきて、
人前でスピーチするときの表現力をアップすることができます。
この練習を学校でやったとき、友達みんなの身振り、手振りの表現力が
数日間の間にものすごく高くなったのを今でも覚えています。
人にちょっとしたインパクトを与えるので普段はあまりやりませんが、
私もたまに子供相手にたまにふざけて大げさにやってみます。面白いですよ。