“リンゴをかじる”“サッカーボールを蹴る”など、対象物に向けられるアクションを“他動詞的な行為”、一方ジェスチャーやパントマイムなど、対象物がないアクションを“自動詞的な行為”と呼びます。
例のミラーニューロンに関する本を読んでいて知ったのですが、サルの脳は“他動詞的な行為”にしか反応せず、人間は“他動詞的な行為”と“自動詞的な行為”の両方に反応して活性化するそうです。
ということは、サルは実際に誰かがリンゴを持って食べている様子を見たとき“あ、この人はリンゴを食べているな”と理解できるんですが、リンゴを食べるようなパントマイムを見ても何をしているのかわかりません。
つまりサルはパントマイムを理解できないのです。
確かに動物園のサル山を見ていても、“あっちへ行こう”だの“オレにグルーミングしてくれ”といったジェスチャーをしているサルを見たことがありません。手を出して“何かくれ”といったジェスチャーはありそうですが、その場にないものや過去や未来について相手に伝えるのは困難です。
だからこそ、人はサルよりもコミュニケーションや他者への理解に対する潜在能力が高いということなんだと思いますが、その違いに仕草を理解できるできないが関係しているのが興味深いです。
私はマイムを習っているとき、先生から自分の作り出したイリュージョンをしっかりとイメージしろ、“respect your illusion!”などと良く言われました。
そうすることで表現がリアルになるからなのですが、マイムで作ったコップや壁をしっかりとイメージでいるということは、他者の気持ちを理解したり想像することと深い関係があるようにも思えます。ちょっと強引でしょうか。
というわけですので皆さん、パントマイムを習って優しい人になりましょう!