非言語コミュニケーションとパントマイム・荒木シゲル公式サイト

  • 荒木シゲル公式Twitter
  • 荒木シゲル著「伝わり方が劇的に変わる!しぐさの技術」Facebookページ
  • 荒木シゲル公式youTubeページ

コミュニケーション・トレーナー&マイム・アーティスト
荒木シゲル

2012.03.26

見つめられるスキル

V・S・ラマチャンドランとサンドラ・ブレイクスリー共著の有名な本、“脳の中の幽霊”に面白いことが書いてありました。

脳の中の扁桃体(へんとうたい)と呼ばれる部分に、だれかが自分をまっすぐ見ているときにのみ反応するニューロンがあるそうです。このニューロンの反応は“直視”のみに限定していて、視線がほんの2,3センチずれたときには、別のニューロンが反応するとか。

扁桃体は人の情動に関する記憶や処理に関係する部分らしく、親しい人の顔を認識したり表情や感情を読み取ったりする部分です。

視線の方向が人の社会コミュニケーション形成で重要な役割をはたしてきたので、例えば悪意を持った険悪な目つきとか、愛情のある熱いまなざしなんかに対して、とても敏感なんでしょう。

それにしても自分を直視しているか、ほんの数センチずれているのかで反応する神経が違うなんてちょっと驚きです。

 

そういえば、CGキャラクターの顔の表情のアニメーションやポーズを付けるとき、目の角度にとても苦労した記憶があります。

カメラ目線にさせるのが特に難しくて、ほんの少しの違いで表情が生きたり、死んだりします。

ちゃんとした方向を向いていないと見ていて気どうも持ちが悪い。

片目ずつちょっと動かしたりしてもなかなかうまくいかず、またキャラクターの顔を見すぎて段々訳がわからなくなってしまったことがよくありました。その時頭の中では直視ニューロンが発火したりしなかったり、活発に活動していたんだと思います。

“目は口ほどにものを言う”とはよく言ったものです。

 

この神経、他者と視線を合わせる経験が少ないと反応が鈍くなってしまうのだと思います。

つまり日常生活で相手と目を合わせる習慣がないと、自分に対する視線をしっかりと認識できなくなるとか。

ワークショップで、アイコンタクトをしながら自己紹介をするワークをたまにやりますが、相手が自分を見ているのか見ていないのか判断できない、ということがたまにあります。

そういうときこれまでは「ただ視線を相手に向けるのではなく能動的に“見る”というアクションをしなければ、相手はあなたに見られていると感じない。」と“見る側”の問題として説明してきたのですが、実は“見られる側”のスキルにも関係しているのかもしれません。

という訳で、人の視線に対して敏感になるために、見つめ合う練習をしましょう!

自分も最近“熱いまなざし”に関しては感覚が鈍くなってきている気がします。練習できるところ、どこかあるでしょうか。